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時々、なにかを無性に詰めたくなるときがある。
そういうときはだいたい、少しストレスが溜まっていたり心配なことがあったりするときだ。
僕は普段あまりストレスを溜めない方なのだけれど、やはり生きていれば多かれ少なかれストレスが溜まるときはある。
そんなときに、ストレス解消として何かを詰めたくなるのだ。
詰めるといっても何を?
オンライン将棋で相手を詰める? いやちょっと違う。人には当たりたくない。
自分を追い詰める? いや、そんなことしたら更にストレスが溜まってしまう。
温泉に通い詰める? いや違う、温泉には毎日行きたいけれど、そんな時間の余裕がない。
指を詰める? まさか。僕はそういう世界に生きていない。
肉だ。
肉を他の食べ物に詰めるのだ。肉詰め系の料理は結構たくさんある。
ピーマンの肉詰め、しいたけの肉詰め、油揚げの肉詰め、ミートパイや、ソーセージだってある意味そうだ。
今回は、れんこんに豚肉を詰めた。
いわゆる「れんこんの肉詰め」である。
これが本当に絶品で、ごはんもビールもかなりすすむ。
一心不乱にれんこんに肉を詰め、それをバクバクと食べるというのが、ある種のスポーツのようでなんとも心地がいいのだ。
そんなわけでさっそく作り方を紹介させてもらおう。
れんこんの肉詰めの作り方はすごくシンプルである。
まずれんこんを洗い、一つを半分に切る。
そして半分に切ったものに、ぐりぐりとひき肉を押し込んでいく。
これでもか、これでもか、と押し込もう。
(ぎっしりと肉詰めにされたれんこんたち。なんだかかわいい。)
肉を詰め終わったら今度は更にそれらを1.5センチ~2.5センチくらいの薄さに切っていく。
れんこんを切るときの感触は気持ちがよすぎて、気づくとまわりには輪切りにされたれんこんたちがうず高く積まれているというのは、「れんこんあるある」である。
切り終わったらあとは中温の油で揚げていくだけである。
温度に気をつけながらじっくり揚げて、両面がこんがり色になってきたら引き上げる。
揚げたての揚げ物は本当に美味しいので、最低一つはつまみぐいをおすすめする。
この世に確かな正義があるのだとしたら、「揚げたての揚げ物」こそそのうちの一つだ。肝に銘じておこう。
すべてのれんこんが揚がり、お皿に盛り付けたら、宴の始まりだ。
シャクシャクとしたれんこんの歯ざわりと、中から溢れ出てくる豚肉の旨味を噛み締めながら、ご飯を食べたり、お酒を飲んだり、それぞれ好きなように楽しみ尽くすのだ。
そして気づけば、器の中のお皿は空になっている。
宴の終わりはいつもあっけなく、どことなく儚い。
でも宴やまつりはそういうものだからこそ、僕たちの日常において特別なのである。
僕たちに幸せを与えてくれたれんこんや、豚肉、お米などに感謝をしながら、礼をして食事を締めくくる。
本当に美味しかった。心もすっかり晴れやかだ。
れんこんさん、豚肉さん、ありがとう。
がつがつと食べごたえのあるものを食べたくなったら、れんこんの肉詰めはとてもおすすめできる料理だ。
ただ、あまり食べすぎるとお腹が痛くなる人もいるようなので、注意が必要かもしれない。
うちの奥さんも食べすぎて、後でお腹が痛くなっていた。
「美味しすぎて、不安を感じながらも箸が止まらなかった」と彼女は言っていた。
「わかりみが深い」と僕は言った。
本当にわかる。美味しいものは箸が止まらないのだ。